内野労務管理事務所からのお知らせ

労務トピックス(6月)

働き方改革関連法-労働安全衛生法の改正について

先月、4月1日に働き方改革関連法が施行となりました。労働時間の上限規制(中小企業は2020年4月1日から)、年休指定義務化、高度プロフェッショナル制度、フレックスタイム制の精算期間延長、などの労働基準法の改正がその代表的なものです。特に年休の指定義務の規定は、どの労働者、事業主の方にとってもとても身近なトピックであることから、他の法改正以上に国民の理解と周知が進みやすいものなのではないでしょうか。

今回は働き方改革「関連法」の改正、施行ということで、その項目は上記の労働基準法関係のもののみならず、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法、パートタイム労働法・労働契約法(大企業は2020年4月、中小企業は2021年4月から)、労働者派遣法(2020年4月)と、重要でありながら多くの労働者事業主の方にとってあまり聞きなれない法律の改正もそれらには含まれています。

その中でも、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法に関しては労基法関係の改正と同様、今年の4月から既に施行されていますが、その内容をきちんと理解している方はあまり多くないように思われます。

より身近な法律である労基法の改正に目を向けがちであることと、企業の大半を占める中小零細企業にとっては、労働時間の上限規制の適用開始が来年の4月からであって現状は適用がないことからも、「適用はまだ先」という意識になり、労働安全衛生法等の改正への対応はつい後手になってしまいそうなものと言えます。

安衛法の主な改正としては、長時間労働に対する面接指導の強化があげられます。具体的には、
①1週間あたり40時間を超える労働(休日労働を含む)が1ヶ月あたり80時間以上で、
②かつ、疲労の蓄積が見られ
③労働者からの申出がある場合
に、医師による、労働者への面接指導が義務付けられる、というもので、改正前の「100時間以上」という要件が「80時間以上」に強化されました。
面接指導は、長時間労働やストレスに起因する労働者の脳・心疾患、メンタルヘルス不調を未然に防止したり、適切に対応することを目的とするもので、面接指導を行う以外に、医師から事業主に対して作業の管理や作業環境などに関する意見を述べ、それに対して事業主側が適切な措置を講じることが求められています。

また、この場合の労働者には従来適用除外とされていた管理監督者も含まれているため、慣例的に残業の多い管理監督者をかかえる事業主の方は、現状行われている労働が適法かどうか、今一度チェックする必要があります。

また、労働者の労働時間の状況の把握義務が新たに定められ、タイムカードやPC等の使用時間の記録等、客観的な方法で毎月の労働時間を把握する必要があり、その上で残業時間が80時間以上となった労働者に対してはその旨を通知しなければならないとされました。

これは、長時間労働やメンタルヘルス不調により健康を損ねる労働者に対する医師の面接指導の実効性の確保を目的とした措置です。政府は、医師と事業主が適切に情報交換を行うことにより、一体的に労働者の心身の健康の確保を図ることを促進していきたいと考えており、今回の働き方改革の中にもそのメッセージが多く含まれています。

労働者の中には、このような規定が存在することを知らずに日頃就業されているケースが多く、労働者側からの対策が実質的に難しい種類のものであることから、事業主の側からの積極的なアプローチが必要とされています。

労働者の健康管理を具体的にどのように行っていくのが適切なのか、時間をかけて対応や検討を行っていくべき内容であるため、高い意識を持って取り組んでまいりましょう。